
では、アルコール政策の舞台そのものはどうなるのでしょう。 業界は自分達に影響がある問題に関しては、怯むことなく意見を主張します。ヨーロッパの税の低い諸国から安いアルコールが輸入されるので、醸造業者が国内酒税の大幅引き下げを要求していることを経済やニュースに興味のない人々でさえわかっています。この運動は誠に公で、騒々しく、ひどく直接的で、約3年にもわたって続いています。その結果、これらの輸入レベルと影響に関し、ある種の真実が確立されました。ただし、綿密な調査に持ちこたえられるものではありません。 以上述べたことは、全てかなり露骨なロビー活動ですが、もっと微妙なものはあるのでしょうか。皆さんは、一体いつになったらポートマングループの話に戻るのかと思っておられるでしょう。ポートマングループの役割は、適正飲酒の促進、アルコール関連障害の軽減、アルコール誤用についての理解を深めることによって、アルコール業界の「社会的意識を持った私益」に寄与することです。飲酒・運転に関する運動や、最近のアルコール飲料のネーミング、パッケージデザイン、それにマーケティングに関する規則の起草から分かるように、業界はみずからの正当性、責任性を提示しています。他に先んじて、研究への主要資金源となり、教材に資金提供をすることにより、内容を規制し、事実を隠すという見方もできます。また討論の場で、自らを守り、必要とあらば自らの取り組みに批判的であるように見せかけることもできます、業界の最過激派と政府の健康問題重視側との間を取り持つこともあるでしょう。政策決定の両端にある、政府の健康・教育の向上を主張する部門とアルコール産業と経済の促進を重視する部門の間の衝突を解決する場合もあるでしょう。結局、政府の政策決定者にとって、商業上の利益を主張するグループと法外な要求を突きつける健康、社会問題に関するロビーグループとの間に適当な妥協点を見つけだす手助けをしてくれる上、相応の資格があり、ソロモンの知恵を備えた団体がついてくれれば、どれだけ便利でしょう。アルコール業界で一度に全てが片づけばどれだけ協議がしやすいことか。 現実には、業界がその意見を通すために弄しているような策と、我々の弄している策は全く異なると言ってしまえば嘘になるでしょう。我々もロビー活動をし、世論に影響を与えることを期待してメディアを活用します。ただ我々には十分な資金がなく、業界と同じ規模で行うことができないだけなのです、、また我々には、大量の無駄と損失を覚悟で行なわれている業界の活動と同じだけの影響力もありません。国民が喜んでアルコールに年間250億ポンドの費用をつぎ込み、経済的利害が重要であるなら、アルコールの製造とマーケティングに関わる人々が、出所の明らかな意見を表明することは理にかなっています。 残念で許しがたいと思われるのは、商業的利害によって討論の相手さえ「買う」ことができることです。二、三の教材に資金を提供することにより、彼等は商業的利益とバランスをとっているのだと見なされます。社会的意識を持った責任ある業界のお金は、どうすれば問題の防止と処置にお金を最もうまく使えるかを決定する独立団体に、常に歓迎されます。業界自体が直接規制している団体がこのお金を分配すれば、正当か否かによらず、疑いの目で見られることは避けられません。多額の資金を利用すれば、余分な政策行動を買えるという状況は許されるべきではありません。 商業的利害の力は非常に強大なため、政策に圧力を及ぼします。今後数年、商業的利害はます
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